「5歳以降で1か月に1回以上の夜尿が3か月以上続くもの」と定義されます。
夜間睡眠中の覚醒障害に、夜間多尿や膀胱畜尿量の減少が加わる事によって起こります。
夜尿の頻度は5歳で20%、小学校入学時には10%と言われています。中学校では1-3%と徐々に減少していきます。自然に改善していく疾患ではありますが、適切な時期に治療の介入を行う事により2年以上短縮できると言われています。
分類
臨床的な分類として、
- 一次性(夜尿が消失していた時期がない or あったとしても6か月に満たない)
- 二次性(6か月以上消失していたが、再び認められるようになった)
この2つに分かれます。大半は一次性です。
二次性に関しては精神的な因子や他の基礎疾患が関与している可能性があります。
もう一つの分類として、
以上の2つのタイプに分かれます。大半は単一症候性です。
非単一症性は泌尿器科疾患や神経疾患、内分泌疾患、発達障害、睡眠時無呼吸症候群、慢性便秘症などの基礎疾患が認められる可能性があります。
夜尿症の病型は大きく分けて「多尿型」「膀胱型」「混合型」に分類されます。
問診、身体診察、飲水・排尿記録や尿検査などによって夜尿の状態を評価し、どの病型にあたるか判断します。それぞれに合った治療方針を選択します。
治療
夜尿の治療開始時期の目安は小学校1年生ぐらいが良いと言われています。
色々な治療法がありますが、以下のものが代表的です。
- ① 先ずは生活習慣の調節を行う。
-
夜間の尿量を減らす事を目標とします。
水分を摂った後、それが膀胱に溜まり始めるのに大体2時間ほどかかります。
ですので夕食は早めに済ませ、寝るまでの間にはなるべく水分摂取を控えます。
(出来る限り一日水分量の80%を日中に摂り、17時以降は20%に留める。夕食は早めに。就寝2時間前までが望ましい。夕食後はコップ1杯まで。牛乳、塩分が多いものは夕方以降には控える。)
夜間手足や下半身の冷えを避ける事も有効です。
また、寝る前の排尿は大切ですが、夜中無理に時間を決めてトイレに起こさない様にしてください。
抗利尿ホルモン(尿量を減らすホルモン)の分泌は寝ている時に行われます。
他に、夜尿のお子様の中には慢性に便秘を合併している方がいます。便秘も夜尿原因の一つなので、排便のコントロールを行う事も重要です。
- ② 効果がなければ薬物療法・アラーム療法を開始する。
-
薬物療法(第1選択:抗利尿ホルモン)
夜間尿量を減少させます。夜尿症のお子様は多くが多尿型なので、この薬剤が有効であることが多いです。ただ、夕食以降の水分制限が行えなければ水中毒という状態を起こすリスクがあるので注意が必要です。
アラーム療法
夜間膀胱蓄尿量が増える事により夜尿を改善します。夜尿の時間帯が徐々に朝方に移行していきます。有効率は70%前後、治療中止後の再発率は薬物療法と比較して少ないと言われています。
しっかりとした効果を得るためには、アラームが作動した時にはちゃんと起きてトイレに行く必要があります(1晩1回だけで可)。お子様自身で起きてくれればよいのですが、夜尿症のお子様は大体覚醒する事ができません。ですので、ご家族に協力して頂く必要があります。
夜尿は成長と共に自然に軽快していく傾向のある疾患ですが、全ての人ではありません。
治療により、改善するまでの時間を短縮する事が出来ます。ご本人やご家族がお悩みになっている場合、積極的に治療を行っていくべきと考えています。
詳しくは以下のサイトをご覧ください。