舌・口・歯関連
舌の付け根(舌小帯)が短い気がします。手術は必要ですか?
舌小帯短縮症とは
舌の付け根が短い場合、舌小帯(舌下面中央と口腔底を固定する部位)短縮症である可能性があります。
舌小帯短縮症には次の2つのケースがあります。
- ①舌小帯の長さ自体が短い。
- ②舌小帯が舌の先端に異常付着している(通常は舌の後方1/2-1/3程度の場所)。
殆どは②(付着部異常)のケースであると言われています。
発症の頻度は正常分娩児の5%程度とされています。
舌小帯は通常、産まれた時には舌尖部に付着していますが、この付着は舌の成長と共に退縮して認めにくくなります。しかしこの退縮がうまく起こらないと、舌が口腔底側に引っ張られて舌の運動が制限されてしまいます。
舌の前方への突出が上手くできないため、無理に舌を出すと先端がくびれてハート型の舌になります。重度では舌が唇を越える事ができません。
症状としては、哺乳時の哺乳障害と幼児期の構音障害(サ行・ラ行)があります。
治療
先述した通り、新生児期・乳児期の舌小帯舌尖部付着は自然退縮する事が多く、殆どが哺乳障害や構音障害の原因とならないとされています。
治療を要する舌小帯短縮症はとても少なく、自然に改善する可能性がある4-5歳頃までは経過観察となるケースが殆どです。
積極的に治療介入した方が良いケースとしましては、哺乳が困難で体重増加不良である場合や、5歳を過ぎて構語障害がある場合が考えられます。
(摂食や発音の障害がひどい時には、1-2歳頃に手術を行うこともあります。)
発音の障害が明らかな場合は、できれば就学前の手術が望ましいです。
上唇と歯茎の付け根(上唇小帯)が短い気がします。手術は必要ですか?
上唇小帯とは歯茎と上唇をつなぐスジの様なものです。
上唇小帯は、乳児期には太いものが前歯の間から生えていますが、上顎の発育に伴って徐々に歯茎の上の方に移動・退縮していきます。
退縮が行われない場合は上唇小帯付着異常症と呼ばれ、乳歯・永久歯の正中離開(前歯の隙間)の原因になり、歯の生え始めが遅れたり、歯列異常を引き起こすことがあると言われています。
ただ、年齢が上がるにしたがって殆どのケースで改善していきます。
永久歯の萌出後も正中離開や歯列の不整がある場合は、歯科や口腔外科で手術の適応を検討する事となります。手術の時期は10歳前後と言われています。
歯が中々生えてきません…。
乳歯は5か月頃から、前歯の下側から生え始めることが多いと言われています。
しかし、その時期には個人差が大きく認められます。1歳頃にやっと生え始めるお子様もいます。まだ歯が目で確認できなくても、前歯の歯茎が膨らんできていればもうすぐ生えてくる兆しです。
1歳を過ぎても兆しが見られない時には歯が先天的に存在していない可能性がありますので歯科受診が必要です。
指しゃぶりがやめられません。歯並びが心配です。
指しゃぶりは口腔機能の発達にとって重要な行為です。そのもの自体は悪い事ではないので、急いでやめる必要はありません。手を使った遊びやおしゃべりなどに気が向く様になってくると、手や口がそちらに使われる様になるので徐々に頻度が低くなってきます。
但し4-5歳ぐらいまで続くと、前歯の突出や嚙み合わせの不正などの歯並びへの影響が出てくる可能性があります。遅くとも4歳までの終了が望ましいです。
指しゃぶりという行為を、お遊びや会話・スキンシップなど、精神安定を得られる別のものに少しずつ置換していく様にしましょう。あまり怒りすぎると、逆にひどくなる事がありますので注意が必要です。
よだれがとても多くて。なかなか治まりません。
よだれとは、飲み込めなかった唾液が口の外に流れ出す状態を言います。
乳児期は唾液を飲み込む行為があまりうまくありません。ですが、離乳食が食べられるようになって唇や嚥下のコントロールが上手になってくると、口を閉じて唾液を飲み込む事が出来るようになってきます。大体1-2歳頃が目安ですが、その時期には個人差があります。遅めのお子様でも、4-5歳ごろまでには自然に気にならなくなってきます。
ただ、一旦治まっていたのに急によだれが増えたりした場合は何らかの疾患を伴っている可能性があります。