手足口病とヘルパンギーナ
- 手足口病が流行っていると聞きます。どんな病気でしょうか?
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手足口病とは、発熱に加えて口腔内・手足などに水疱性の発疹が出るエンテロウイルス感染症の一種です(主にコクサッキーウイルスA6、A16、エンテロウイルス71など)。乳幼児(5歳以下が8割)を中心に、主に夏に流行するのですが、2021年は季節外れの大流行を呈しています。
感染から発症までは3~5日程度かかります。
症状の出現は、先ずは口の中の痛みから発症する事が多いです。食事や授乳が低下したり、涎が普段より多くなったりしていれば、口腔内に発疹が出来ているかもしれません。
同時か少し遅れて、手や足に水疱が出来てきます。手足の末端だけではなく、肘から肩・お尻・陰部にも発疹が出る事があります。発熱は1~3日程度で治まるケースが多いです。発疹は1週間程度で消えますが、範囲の広い重症例では数週間ほどかかる事があり、爪がはがれるケースもあります(コクサッキーウイルスA6)。<治療>
治療法に特別なものはなく多くは自然軽快しますが、特に気をつけることは水分補給と食事です。口に染みず、嫌がらずに飲めるものが望ましいです。冷たい飲み物は比較的飲んでくれることが多いので、冷やしたスムージーやスープ等は栄養も摂れるのでお勧めです。アイスクリームやゼリーも効果的です。
口腔内病変のために水分摂取が極端に低下した場合は入院加療が必要となる事があります。また無菌性髄膜炎や急性脳症などの合併症を起こすリスクもあり(エンテロウイルス71)、重症化に対する観察は必要です。ウイルスの排泄期間は、呼吸器系からは1~2週間程度、腸管系からは1か月程度であると言われています。症状が改善したあとも、飛沫感染予防は勿論ですが、おむつ替え時にも注意してください。頻度は低いですが、大人もうつる事がありますので。
登園の目安は、解熱後1日以上経過していて普段通り食事が出来ている事です。発熱や口腔内の痛みにて普段通りの食事が摂れない等の症状がなければ、保育園や学校を休む必要はないとされています。ただし、登園や登校の基準は地域や園によって異なるため、通っている園や学校に確認しましょう。治癒証明書は法律上不要ですが、園によっては必要なケースがあるのでこちらも確認して下さい。
- ヘルパンギーナと言われました。手足口病とどう違う?
ヘルパンギーナは、殆どがコクサッキーウイルスAによるウイルス感染症です。手足口病と同じく夏に流行する疾患で、罹患の多い年齢も同様です。
突然の高熱で発症します。手足口病と比べて高熱になる事が多いです。口腔内に水疱が出来る点は手足口病と同様ですが、手足などの発疹は目立ちません。頭痛・嘔吐等の症状を認める事もあります。一概には言えませんが、印象としては手足口病よりヘルパンギーナの方が辛そうに見えます。
多くは自然軽快します。手足口病と同様に、気をつけることは水分補給と食事です。明確な出席停止期間は決められておらず、本人の状態によって判断されます。手足口病と同じく、「解熱しており普段通り食事が出来ている事」となります。