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よくあるご質問 - アトピー性皮膚炎の新しい外用薬(非ステロイド)|東大阪市御厨西ノ町の小児科・アレルギー科 - もしもしキッズクリニック

よくあるご質問

Q & A

Q & Aよくあるご質問
(アトピー性皮膚炎の新しい外用薬)

アトピー性皮膚炎の
新しい外用薬
(非ステロイド)

JAK(ヤヌスキナーゼ)阻害剤

アトピー性皮膚炎には、サイトカインと呼ばれる炎症物質が関与しています。
サイトカイン(細胞外の刺激)を細胞内に伝達する酵素がJAK(ヤヌスキナーゼ)です。
サイトカインが細胞にくっつくと、JAK経路が活性化して炎症やかゆみを引き起こします。
コレクチム軟膏は、JAK経路をブロックすることで皮膚の炎症やかゆみを抑え、アトピー性皮膚炎を改善します。
現在外用薬と内服薬が承認されていますが、ここでは外用薬についてお話します。

コレクチム軟膏(デルゴシチニブ)
コレクチム軟膏(デルゴシチニブ)

コレクチム軟膏(一般名:デルゴシチニブ)は、アトピー性皮膚炎を適応とした世界初の外用JAK阻害剤です。
0.5%製剤(成人用。小児も使用可能)が2020年6月に、0.25%製剤が2021年6月に国内販売が開始されました。
先述したJAKにはJAK1・JAK2・JAK3・Tyk2の4種類があり、コレクチムはこれらすべての作用を阻害する効果があります。細胞内シグナルを阻害することでサイトカイン(IL-4、IL-13、IL-31など)による過剰な免疫の活性化を抑え(STATの活性化を抑制)、皮膚の炎症を改善します。

治療前と治療後

1日2回、適量(1回あたりの塗布量は最大5g)を患部に塗布します。
年齢適応は生後6か月からとなっています。

既存のアトピー性皮膚炎治療薬であるステロイドやタクロリムス(プロトピック)と比較し分子量が小さく、容易に皮膚で経皮吸収されます。
ステロイドの長期使用による副作用を軽減する目的で作られた薬剤なので皮膚萎縮や血管拡張などが起こらない為、顔面や頸部などのステロイド外用薬を長期塗布したくない部位での場合にも適していると思われます。
しかし反面、ステロイドと比較すると効果は弱い印象があります。しかし、プロトピックの様な刺激感もなく使いやすい薬です。

副作用としては、頻度はさほど多くはないですが、免疫抑制剤である為ニキビやヘルペスの様なで皮膚感染症を起こすことがあります。これは他の抗炎症外用薬と同様です。
やむを得ず使用する場合には、適切な抗菌・ウイルス・真菌薬による治療・併用が必要です。
粘膜やびらん面には使用できず、妊娠または妊娠している可能性のある方や授乳婦の方には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用されます。
治療開始4週間以内に皮疹の改善が認められない場合は使用を中止する事となっています。

PDE4(ホスホジエステラ―ゼIV)阻害剤

モイゼルト軟膏(ジミファミラスト)
モイゼルト軟膏(ジミファミラスト)

モイゼルト軟膏(一般名:ジミファミラスト)は、アトピー性皮膚炎を適応とした国内初のPDE4阻害剤です。2022年6月1日より販売が開始されました。
1%製剤(成人用。小児も使用可能)と3%製剤(小児用)があります。

ホスホジエステラーゼ(PDE)4という酵素があります。
PDE4は多くの免疫細胞に存在する酵素で、cAMPという物質を分解する働きがあります。cAMPの分解が亢進し細胞内のcAMP濃度が低下すると、免疫細胞からの炎症性物質の産生が亢進してしまいます。
つまり、PDE4は炎症物質を分解しにくくする働きがあるという事になります。
モイゼルト(ジミファミラスト)は、このPDE4の働きを阻害することによって炎症細胞内のcAMP濃度を高め、過剰な炎症物質の産生を制御することにより皮膚の炎症を抑制します。

モイゼルト軟膏の作用機序

1日2回、適量(コレクチム軟膏、プロトピック(タクロリムス)軟膏と異なり、塗布量に制限は無し)を患部に塗布します。
年齢適応は生後3か月からとなっています。

こちらもコレクチムと同様、ステロイドの長期使用による副作用(皮膚萎縮や血管拡張など)が起こらない為、顔面や頸部などのステロイド外用薬を長期塗布したくない部位での場合にも適していると思われます。