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食物アレルギーと離乳食の進め方に関して|東大阪市御厨西ノ町の小児科・アレルギー科 - もしもしキッズクリニック

食物アレルギーと離乳食の進め方に関して

Food allergies

Food allergies食物アレルギーと離乳食の進め方に関して

食物アレルギーと離乳食の進め方に関して

食物アレルギーの原因食品

食物アレルギーの有病率は増加傾向にあります。
0歳児では卵・牛乳・小麦が主な原因食品ですが、年齢が上がるにつれ魚卵類(イクラ)・木の実類・ピーナッツ・果物類の発症が増加していきます。近年原因食品の変遷が見られており、幼児期後半ではナッツ類、学童期では果物類アレルギー(キウィ・バナナ・バラ科果物)の頻度が上昇したと言われています。
それを受け、アレルギーによる健康被害を防止する目的で2002年4月から始まった「加工食品のアレルギー表示」に、2019年9月からアーモンドが特定原材料に準ずるものに追加され、推奨品目が21品目に増加しました。

※近年くるみを含む木の実全体のアレルギーが増加しており、2023年3月から特定原材料にくるみが格上げされ8品目となりました。

  • 特定原材料8品目(義務品目:必ず表示)
    卵・乳・小麦・ソバ・ピーナッツ・エビ・カニ・くるみ
  • 特定原材料に準ずるもの20品目(推奨品目:表示が奨められている)
    アーモンド・あわび・いか・いくら・オレンジ・カシューナッツ・キウイフルーツ・牛肉・ごま・さけ・さば・大豆・鶏肉・バナナ・豚肉・まつたけ・もも・やまいも・りんご・ゼラチン

食物アレルギーの発症予防について

  • 母親の食事に関して
    子供の食物アレルギーや喘息等のアレルギー疾患予防の為に、妊娠及び授乳中の母親が特定の食品を避ける事に関する効果は証明されていません。母親の食事において特定の食品を避けたり、過剰に摂取したりする必要はありません。バランス良く食事を摂ることが大切です。
  • 加水分解乳に関して
    アレルギー素因のある子供に対する牛乳アレルギー治療用加水分解乳の予防効果は、以前は予防効果があるとする報告がされていましたが、最近は効果がないとする報告も多く、明確にはなっていません。
  • 離乳食の開始に関して
    離乳食の開始や特定の食物の摂取開始を遅らせれば食物アレルギーの予防効果があるという事は証明されておらず、科学的根拠はないとされています。遅らせず、生後5~6か月から離乳食を開始するのが望ましいです。

離乳食の進め方

母乳や人工乳だけでは不足してくる栄養を補完するために、成長に従って母乳・人工乳のみの状態から食事メインの状態に移行していく為の食事を離乳食と言います。成長段階によって食品の量・硬さ・種類などを徐々に変えていく必要があります。

《離乳初期(生後5か月~6か月頃)》
回数:1日1回
離乳の開始時期
口を閉じて取り込みや飲み込みが出来るようになる
⇒調理形態:なめらかにすりつぶした状態(トロトロ→ベタベタ)
タマゴ摂取の目安:卵黄を少しずつ開始

なめらかにすりつぶした状態の食物を初めて与えた時を離乳の開始といいます。開始時期の目安としては、首が座って支えると座れる、スプーンなどを口に入れても舌で押し出すことが少なくなる、食べ物に興味を示す(食べたそうにしている)などがあげられます。
この時期は栄養を摂るという事よりも、母乳やミルク以外の舌ざわりや味に慣れる事が目的となります。
回数は1日1回。初めて食べる食品はできれば午前中が望ましいです。1日1回1さじずつ始めます。母乳や人工乳の目安は800~1000ml/日ですが、普段の授乳サイクルに従って欲しがるだけ与えて下さい。

先ずはつぶしたお粥から開始です。慣れてきたら芋類や野菜・果物を始めます。
野菜や芋類はアレルギーを起こす頻度が低いと言われています。
さらに慣れたら豆腐や白身魚、固ゆでした卵黄などと種類を増やしていきます。
(※以前は卵黄の開始時期は「7か月以降」とされていましたが、現在の授乳・離乳の支援ガイドラインでは「5,6か月~」に改訂されています。)
卵黄の始め方ですが、固ゆで卵(20分間ゆでる)の卵黄のみを耳かき1杯くらいから与え始めて下さい。問題なければ徐々に増量します。
新しい食品を始める時には、少しの量から始めて、様子をみながら徐々に量を増やすのが良いです。1か月ぐらいかけて主食(10倍がゆ)・副菜(野菜など)・主菜(豆腐・白身魚など)が揃うのが目標です。
味付けは出汁程度、調味料はまだ使いません。

食べ物の硬さは、子どもが口の中で押しつぶせるように十分な固さになるように加熱調理をして下さい。初めは「つぶしがゆ」→「粗つぶし」→「つぶさないまま」→「軟飯」へと進めて行ってください。他の食品に関しても、始めはなめらかに調理し、次第に粗くして行ってください。

《離乳中期(生後7か月~8か月頃)》
回数:1日2回
乳歯が生え始める。舌と上顎で潰していく事が出来るようになる。
⇒調理形態:舌でつぶせる固さ(ツブツブ→荒いツブツブ)
タマゴ摂取の目安:卵黄1~全卵1/3

1回あたりの摂取目安量
穀物:全粥50-80g 野菜・果物:20-30g
魚・肉:10-15g or 豆腐:30-40g or 卵:卵黄1-全卵1/3 or 乳製品:50-70g

離乳食は1日2回。間隔は4時間以上あけて、生活リズムを整えるために毎日決まった時間に与えます。
この時期の食品は、舌でつぶせる固さのものにして下さい。
離乳中期頃になるとつぶした食べ物をひとまとめにする動きを覚え始めるので、飲み込み易いようにとろみをつける工夫も必要になります。
舌が前後に加えて上下にも動き、食べ物を舌と上顎で潰せる様になっています。食べさせ方ですが、平らな離乳食用スプーンを下唇にのせ、上唇が閉じるのを待ってからスプーンを引き抜きます。
母乳やミルクは離乳食の後に与えます。その他には、哺乳サイクルに従って、母乳は欲しがるだけ、ミルクは1日に3~4回程度(700~800ml/日)を目安に与えます。

食品は、魚は白身から赤身へ(サケ・マグロなど)、卵は卵黄から全卵へと進めていきます。食べやすく調理した肉類(脂肪の少ないささみから開始し、脂肪の多い肉類は遅らせる)、豆類・各種野菜・海藻類と種類を増やします。
乳製品に関しては、プレーンヨーグルト(加糖ではないもの)やカッテージチーズ(塩分と脂肪分が少なめ)などを開始します。牛乳はそのまま飲用しないようにしてください。料理に使用して加熱して摂取させます。
この時期は鉄欠乏性貧血が起こりやすく、牛乳は腸管からの鉄の吸収を阻害するからです。飲用は、1歳を過ぎてからが望ましいです。
(※鉄欠乏とは特に関係ありませんが、ハチミツも1歳を過ぎてからとなります。
ボツリヌス菌感染を避けるため、1歳未満の子供にはハチミツやハチミツ入りの飲食物は控えて下さい。)
小麦はうどんを少量から開始します。柔らかくなるまで煮込み、細かく刻んだものを使用してください。
味付けは出汁に加えて、醤油数滴・砂糖塩味噌を少々使用しても構いません。

母乳育児の場合、鉄欠乏貧血を生じやすいとの報告があります。また、ビタミンD欠乏の可能性もあることから、母乳育児を行っている場合は、鉄(魚類・大豆製品・緑黄色野菜など)やビタミンD(魚類・キノコ類など)を積極的に摂取する必要があります。
フォローアップミルクは母乳代替食品ではなく、離乳が順調に進んでいる場合は、使用する必要はありません。離乳が順調に進まず鉄欠乏のリスクが高い場合や、適当な体重増加が見られない場合には必要に応じてフォローアップミルクを使用します。

《離乳後期(生後9か月~11か月頃)》
回数:1日3回
1歳前後で前歯が8本生えそろう。歯茎で潰すことができるようになる。
⇒調理形態:歯茎でつぶせる固さ(3~5→5~7㎝角)
タマゴ摂取の目安:全卵1/2

1回あたりの摂取目安量
穀物:全粥90g-軟飯80g 野菜・果物:30-40g
魚・肉:15g or 豆腐:45g or 卵:全卵1/2 or 乳製品:80g

口周りの筋肉が発達し、舌で食べ物を歯茎の上に乗せられるようになり、歯や歯茎で潰すことが出来るようになります。
離乳食は1日3回。9か月のうちにできるだけ3回食にします。歯茎でつぶせる固さのものを与えます。柔らかすぎると舌で潰してしまいますし、固すぎると歯茎で潰せない為、丸呑みの原因となってしまいます。
食べる量も増えてくるため、くぼみのある離乳食用スプーンを使います。下唇にのせて、上唇が閉じるのを待ってから引き抜きます。
この頃から手づかみ食べが始まります。周りが汚れたり食事に時間がかかったりして大変ですが、発育・発達のためには積極的に行わせたい行動です。
好き嫌いや食べムラなどの行動が増えて困るのもこの時期からです。

食欲に応じて離乳食の量を増やします。母乳やミルクは離乳食の後に与えます。この他に、哺乳サイクルに従って、母乳は子どもの欲するままに、ミルクは1日2回程度(目安は400-600ml/日)与えます。

食品は赤身の牛肉・豚肉、青背の魚(イワシなど)も食べられるようになります。イカ・タコ・エビも煮物などで少量から開始します。
味付けは出汁、醤油数滴・砂糖塩味噌少々に加えて、ケチャップやソースを少しずつ使用していく事になります。醤油には小麦成分が含まれているため、小麦アレルギーの方は注意してください。

この時期になると、食事からの栄養が増えて母乳・ミルクと逆転します。

《離乳完了期(生後12か月~18か月頃)》
回数:1日3回+間食
完了期の後半頃に奥歯(第1乳臼歯)が生え始める。歯を使うようになる。
⇒調理形態:歯茎で噛める固さ(1㎝角→スティック状)
タマゴ摂取の目安:全卵1/2

1回あたりの摂取目安量
穀物:全粥90g-軟飯80g 野菜・果物:30-40g
魚・肉:15g or 豆腐:45g or 卵:全卵1/2 or 乳製品:80g

生後12か月から18か月頃は離乳食の完了期です。
食物を噛み潰す事ができるようになり、またエネルギーや栄養素の大部分を食事から摂取できるようになった状態を離乳の完了といいます。
食事は1日3回。その他に1日1~2回のおやつを必要に応じて与えます。
母乳やミルクは、離乳の状況に応じて与えます。離乳の完了は、母乳やミルクを飲んでいない状態を示すものではない為、無理にやめる必要はありません。
母乳・ミルクの目安量は、1日300-400ml程度です。

手づかみで食べて、前歯で噛み取る練習をします。一口量を覚えると、食器を上手く使えるようになっていきます。殆ど大人と同じものを食べられるようになりますが、味の濃さには気を付けましょう。取り分ける時は、できれば2-3倍ほどに薄める事が望ましいです。また、アレルギー症状の発現に注意するため、初めての物は少量かつ日中に食べるようにしてください。
食べる量にはかなり個人差が出てきますが、体重が成長曲線のカーブに従って増えてきていれば、あまり心配する必要はありません。
母乳・ミルクばかりで離乳食が進まない場合は、子どもが欲しがる前におやつをあげたり、興味のある好きな遊びを行ったりしつつ、1日の授乳回数を数日に1回ずつ減らしていくのが良いと言われています。